サンフランシスコ市「慰安婦」記念碑に対する吉村洋文大阪市長・安倍晋三首相の抗議の撤回を求める声明

 

 2017年12月4日

 

 20159月、サンフランシスコ市議会は全会一致で「慰安婦」記念碑建立を可決し、その決議に則り20179月に記念碑が完成しました。このサンフランシスコ市議会の決定に抗議する、として、吉村洋文大阪市長はエドウィン・リーサンフランシスコ市長に対して、「慰安婦」記念碑の設置中止を要求しました。さらに、市民の手で記念碑が発表された後には、市長の拒否権の発動を要求しました。そして20171122日にリー市長が記念碑の公有化を認めたことを受けて、吉村市長は1124日、12月には大阪市とサンフランシスコ市との姉妹都市関係を解消することになると表明しました。

 

 吉村市長は、姉妹都市解消の理由として、記念像の碑文が「日本政府の見解と異なる」ことを挙げ、安倍晋三首相もまた吉村市長と同様の趣旨で、サンフランシスコ市の「慰安婦」記念碑公有化に反対する旨の申し入れを行いました。

 

 「慰安婦」を記念する最も有名な像である「平和の少女像」は201112月に、日本軍「慰安婦」制度の被害女性たちの抗議活動である「水曜日デモ」1000回記念にソウルの日本大使館前に建立されました。以降、世界各地で日本軍「慰安婦」を記念する碑が建立されています。その背景には、日本政府が日本軍「慰安婦」問題をいまだに否定し続ける態度があると私たちは考えます。とりわけ2006年の発足以降、いわゆる狭義の「強制連行を直接示すような記述は見当たらない」とした2007年の閣議決定に象徴されるように、安倍内閣は日本軍「慰安婦」問題に真摯に向き合うどころか、性奴隷制度である日本軍「慰安婦」制度が存在しなかったかのような世論形成に力を注いできたといっても過言ではありません。

 

 日本軍「慰安婦」問題は、いまや世界的な国際人権の課題として認識されています。サンフランシスコ市に公有化された「慰安婦」記念碑はそのような普遍的な女性の人権の問題を記憶するためにサンフランシスコ市民が建立したものです。その「慰安婦」記念碑に抗議した吉村大阪市長ならびに安倍首相に、以下の理由から、抗議を撤回し、むしろ積極的に被害女性たちの主張に耳を傾けて、日本軍「慰安婦」問題の解決に尽力することを強く求めます。

 

・1991年の金学順(キム・ハクスン)さんの初めての告発は、強かん・性奴隷・強制性売買などが「人道に対する罪」に当たる戦争犯罪として認識される契機ともなり、グローバルな国際人権レジームを動かすほどの勇気ある告発でした。その後、国際社会では市民が中心となった資料発掘や聞き取りなどにより「慰安婦」制度についての研究が進められています。2007年の安倍内閣の閣議決定は1993年の「河野談話」以前に日本政府が発見した資料にしか言及しておらず、その後の研究で得た知見、そして何よりも国際的な人権法の趨勢に著しく逆行しています。

 

・2014年に国連自由権規約委員会は、日本政府が、本人の意に反して慰安所の募集や移送が行われていたことを認めながら、強制的に連行されたのではなかったと主張する点で矛盾していると指摘しています。さらに、吉村市長や安倍首相が言うような日本政府の見解・立場について同委員会は、法的責任を伴う人権侵害とみなすに十分である「慰安婦」問題に対する曖昧な態度であり、「慰安婦」にされたと勇気をもって告発した女性たちが再度傷つけられることへの懸念を表明しています。吉村市長ならびに安倍首相は、公人としての発言・行動が被害女性たちの尊厳を再度、踏みにじっていることを認識するべきです。

 

・吉村市長の行動は、かつての橋下徹大阪市長(当時)による「慰安婦」制度と現代の軍隊による性暴力を容認する発言を想起させます。吉村市長は、「強制連行はなかった」、戦時下に「慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」などの妄言を繰り返してきた橋下前市長の発言に追随した態度を示し続けていますが、吉村市長は、女性の人権や尊厳、性暴力に対する理解を深め、市民の相互理解を通じた世界平和への寄与を目的とする姉妹都市の精神に基づいた行動をとるべきです。

 

・サンフランシスコ市の「慰安婦」記念碑は、性暴力のサバイバー女性たちの強さと勇気を記憶するために、「慰安婦」とされた中国・韓国・フィリピンの女性たちが長い沈黙を破って立ち上がる姿を象徴しています。また、彼女たちを見つめる地上の女性像のモデルは、日本政府に法的責任を認めるよう公に求めた最初の女性である金学順さんです。被害女性たちの告発の声は、日本政府の責任を問い、正義の回復を求めているのです。それは、二度と同じ過ちを繰り返さない、そしてこれ以上、性暴力の被害にあった女性たちに沈黙を強いることのない未来を求める声です。吉村市長と安倍首相は、彼女たちの声をいたずらに日本非難の声と歪めることなく、真摯に受け止めるべきです。

 

・「女性・戦争・人権」学会は、2015年12月28日に突然発表された「日韓合意」に対して強い危惧を表明してきました。なぜなら、この合意をめぐる日本政府のこれまでの態度は、「歴史から日本軍性奴隷制度という過去を消し去ろうとする意図が働いているのでは」と疑わせるに十分だったからです。そして現在、韓国の「平和の少女」像やサンフランシスコ市を始めとした世界の「慰安婦」記念碑をめぐる安倍首相の発言を見れば、残念ながら、私たちの危惧が正しかったことは明らかです。

 

 吉村市長が碑文の中でことさら問題視する被害者数は、政府による十分な調査が行われず、また戦後公文書が政府の手で大量に焼却されてしまったという状況のもとで、たしかに研究者の間でも複数の説が存在しています。しかしながら、これまでの調査・研究により明らかになった、揺るがしがたい事実とは、「慰安所」が日本軍によって、設置・運営・管理されていたという事実です。日本軍「慰安婦」制度が女性の人権と尊厳を踏みにじる性奴隷制度であったという最も重要な点から目を逸らす態度は、被害者女性たちの人権を再び貶める態度に他ならず、改められなければなりません。

 

 以上より、わたしたち「女性・戦争・人権」学会は、吉村大阪市長、安倍首相に対して、サンフランシスコ市の「慰安婦」記念碑の公有化への抗議を撤回することを求めます。

 

*なお、本声明に関係するこれまでの学会声明は、以下の通りです。

 

「「河野談話」を再認識することで堅持し、「慰安婦」問題の真の解決を!」(2012年9月7日)

「橋下徹大阪市長に断固抗議します」(2013年5月22日)

「河野談話見直しに断固反対します」(2014年4月4日)

「日本軍「慰安婦」問題の日韓合意に深刻な危惧を表明します」(2016年1月12日)

 

≪「女性・戦争・人権」学会 2017年度年次大会のお知らせ≫

「「安全保障」と管理される性:韓国「基地村女性」の闘い」

 

日時:2017年10月22日(日)11:00~

会場:同志社大学 烏丸キャンパス 志高館SK119

(参加費 会員:無料、一般:1,000円、学生/正規労働者以外:500円)http://www.doshisha.ac.jp/information/campus/access/karasuma.html

 

○スケジュール

11:00~12:00  総会

12:00~13:30  ランチ休憩

13:30~17:30  シンポジウム

18:00~20:00  懇親会 会場未定

 

(懇親会費 会員/一般:5.000円-、学生/正規労働者以外 2,000円)

 

 

2017年度シンポジウム

「「安全保障」と管理される性:韓国「基地村女性」の闘い」

 

パネリスト

 アンギム・ジョンエさん(平和をつくる女性の会)

 イ・ナヨンさん(中央大学)

討論

 山下英愛さん(文教大学)

 

※日・韓逐次通訳つき

 

 

 敗戦後の日本が、米国を中心とする占領政策によって戦争責任を不問にしたまま復興していく一方で、朝鮮半島では、日本による植民地支配からの「解放」もなく、東西冷戦が朝鮮戦争という実際の戦争として戦われました。この戦争はまた、朝鮮半島の南北それぞれを米国と他の西側諸国による国連軍、ソ連と中国が支援した戦争でした。1950年から始まったこの朝鮮戦争は、1953年に朝鮮民主主義人民共和国、中国、国連軍による休戦協定が締結されたきり、和平に向けた交渉は行われていません。

 このような「戦争」状態は軍事力による安全保障政策を正当化し、休戦協定締結後も韓国には米軍の駐留が継続しています。その米軍駐留を支えるために米軍基地周辺の「基地村」と呼ばれる繁華街では性売買が制度化され、現在でも続いています。

 在韓米軍をめぐる韓米政府の交渉において、「基地村」は外交カードとして使われたことが明らかになっています。1969年のニクソン・ドクトリンにおいて米国政府が在韓米軍の削減を提示した際に、朴正煕大統領(当時)は「基地村浄化」政策を打ち出し、より「安全」な性売買の提供を約束することによって在韓米軍の引き留めを図りました。この政策によって基地村女性たちに対する性病検査の徹底と治療が行われました。女性たちは、韓国社会で「淪落女性」として蔑視の対象となりながら、米軍駐留のための「民間大使」とも呼ばれ、外貨獲得の手段としてもてはやされました。

 2014年6月25日、「基地村女性」122人が韓国政府に対して一人当たり1000万ウォン(約100万円)の国家賠償を求める裁判、「韓国内基地村米軍慰安婦国家損害賠償訴訟」を起こしました。原告は1960~70年代に基地村で性売買に携わった韓国人の基地村女性たちです。

裁判では基地村設置に対する韓国政府の責任、基地村女性たちへの補償、性病検査の違法性などが問われました。

 2017年1月20日に言い渡された一審の判決でソウル地方裁判所は、女性たちの訴えを一部認め、1977年の性病感染人隔離収容に関する法制定より前に、本人の同意なく性病検査と治療のために施設に隔離されたことは違法と認め、57人に500万ウォン(約49万円)の支払いを命じました。現在、原告も国も控訴しています。

 安全保障の名の下で基地村ではどのように性が管理されたのでしょうか。管理されてきた基地村女性たちは裁判で何を訴えたのでしょうか。また長く社会的に認知されてこなかった基地村女性たちが起こした裁判にはどのような支援活動が行われているのでしょうか。

本年度の研究大会では、基地村女性裁判の支援団体で活動してきたアンギム・ジョンエさんと、日本軍「慰安婦」問題などの研究を続けてきたイ・ナヨンさんをパネリストとしてお迎えし、「基地村女性」裁判をめぐって議論したいと思います。どうぞ奮ってご参加下さい。

 

2017年春季大会ポスター
2017ポスター改定.pdf
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春季研究会「戦争と女性、芸術の 力」のお知らせ

 

 春季研究会を 下記 の通り開催いたします。みなさまのご参加をお待ちしております。

 

報告① 志真斗美恵さん 

「ケーテ・コルヴィッツ〜平和を求めて」 

 

報告② レベッカ・ジェニスンさん 

「新自由主義」の時代におけるパフォーマンス・アートの可能性〜山城知佳子の作品を中心に」

 

月日: 2017年 3月 4日(土 )

時間: 13 :30 ~17 :00

会場:フェリス女学院大緑園都市キャンパス 8号館1階 国際交流学部共同研究室

 

http://www.ferris.ac.jp/access/

 

<報告者プロフィール>

志真斗美恵さん(法政大学・東京理科非常勤講師)ドイツ文学 

著書:『ケーテ・コルヴィッツの肖像』( 績文堂 、2006 年)

 『芝寛 ある時代の上海・東京――亜同文書院と企画事件』 (績文堂、 2015年)

訳書:『文化の擁護 1935 年パリ国際作家会議』(法政大学出版局、 1997 年)作業チームの一員として翻訳を担当 1997年)

 

レベッカ・ジェニスンさん (京都精華大学 人文学部教員) 

批評理論 ・ジェンダー批評理論 富山妙子や城知佳など  国内外で活躍しているアーティストについて研究活動中 

著書(共同編集):『 Imagination Without Borders: Feminist Artist Tomiyama Taeko and Social ResponsibilityImagination :   ResponsibilityImagination Without Borders: Feminist Artist Tomiyama Taeko and Social Responsibility』(Center for Japanese Studies, University of Michigan 2010)、『 Still Hear the Wound :Toward an Asia, Politics and  Art to Comeand 』( Cornell University, East Asia Series、2015 )

 

☆「女を修理する男」上映会のお知らせ☆
2016 年12 月22 日(木) 18:00 - 21:00
同志社大学寒梅館クローバーホール
https://www.doshisha.ac.jp/information/facility/kambai.html
入場無料・申込不要
『女を修理する男』は、コンゴ民主共和国(DRC)で1996年から続く武力紛争下
起こっている大規模で組織的な性暴力の被害者の治療とケアにあたってきた
産婦人科医、デニ・ムクウェゲ (Denis Mukwege)医師の活動を記録した
ドキュメンタ リ―映画である。
日本では2016年6月に初めて立教大学で上映され、現在、日本各地の大学で上映会が行われている。
ムクウェゲ医師は2016年10月に初めて来日し その様子は、多くのメディアで取り上げられた。 
武力紛争下の性暴力は紛争における戦略として認識されるようになっており、
国連が取り組む重要な課題である。とりわけDRCのケースは、その規模の大きさと残虐性が注目を集めている。
他方で、DRCでの紛争の原因と考えられる稀少鉱物の生産や歴史的背景には
あまり目を向けられていない。
映画は、稀少鉱物をめぐって 続く紛争とそこで戦略として行われてきた性暴力の歴史、さらにそれに取り組んで きたムクウェゲ医師の活動を記録した貴重な映画である。 
同志社大学グローバル・スタディーズ研究科
Tel.075-251-3930 
E-mail: ji-gs@mail.doshisha.ac.jp
共催:フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センター、「女性・戦争・人権」学会
「女性を修理する男」ちらし
GJ57_2.pdf
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【重要】 事務局からのお知らせ--2016年度研究大会の日程について

大変申し訳ありませんが、諸般の事情により、2016年度の総会と研究大会の日程
は、例年のスケジュールから変更し、2016年12月11日(日)に開催致します。場
所は、同志社大学(京都市)です。

≪「女性・戦争・人権」学会 2016年度年次大会のお知らせ≫
「マイノリティ・女性・人権:国際社会の規範から日本の現状を問う」
 
日時:20161211(日)1100
会場:同志社大学 烏丸キャンパス 志高館SK118 教室
 
 
(参加費 会員:無料、一般:1,000円、学生/正規労働者以外:500円
 
○スケジュール
11001200            総会
12001330         ランチ休憩
133017:30         シンポジウム
 「マイノリティ・女性・人権:国際社会の規範から日本の現状を問う」
18002000   懇親会 会場未定
(懇親会費 一般:5.000-、学生/正規労働者以外 :2,000-

 

2016年度シンポジウム
マイノリティ・女性・人権 ――国際社会の規範から日本の現状を問う――


シンポジスト
近江美保さん(長崎大学)
山崎鈴子さん(部落解放同盟愛知県連合会)
梁 優子さん(アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク、大阪市立大学人権問題センター)


コメント
元百合子さん(大阪経済法科大学21 世紀社会研究所)


第二次世界大戦終了直後に世界人権宣言が国連で採択されて以降、国家・政府による人権侵害
の甚大さとその広範な被害に対して、国際社会が協力し二度と同様の加害を許さないというルー
ル作りが積み重ねられてきました。国際社会の一員として日本政府もまた、そうしたルールに従
うべき責務があることはいうまでもありません。
ところが、世界人権宣言と同時期に制定された日本国憲法を米国の占領下での「押し付け憲法」
だとして、とりわけその三大原理の一つである平和主義を攻撃する勢力・政治家たちは、他方で、
国際人権規約(社会権規約と自由権規約)や人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、子どもの権
利条約といった国際人権法の各条約委員会からの勧告に対して不誠実な対応を繰り返してきまし
た。その典型例が、日本軍「慰安婦」問題に対する厳しい勧告への政治家や日本政府の対応とい
ってよいでしょう。
2016 年次大会では、日本もまたその構成員として遵守義務を負うはずの国際的な人権規範の現
在の到達点を確認し、また「外圧」などの表現に象徴されるような、国際的規範や普遍的な価値
に対する日本社会の無理解・無関心を批判的に考察します。国際人権法がどのような歴史から発
展し、また現在の日本社会においてそうした規範を実現していくために、わたしたちにはどのよ
うな行動が求められているのか。そして、現在わたしたちが直面している日本社会の現状をいか
に変革へと導いていくことができるのか。
本大会は、国際人権法の基本的な考え方に立ち返り、日本社会では身近に感じにくい傾向があ
るなかで、マイノリティや女性の立場から人権という価値の重要性について国際社会で、また日
本社会へ発信や研究を続けてきた登壇者の方々と共に考える場になることを目指しています。

2016年ポスター (1).pdf
PDFファイル 451.1 KB

日本軍「慰安婦」問題の日韓合意に深刻な危惧を表明します

20151228日、韓国政府との間で日本政府は、「慰安婦」問題について、「慰安婦」にされた女性たちに対する支援事業を両国が協力して行っていく上で、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」ことに合意しました。そして、日本政府として「責任を痛感し」、安倍晋三首相は、韓国の元「慰安婦」の方々に「心からのおわびと反省の気持ちを表明する」と、岸田文雄外務大臣は記者会見の場で発表しました。

 日本軍「慰安婦」問題に関しては、1991年の金学順さんの勇気ある告発以来、日本の植民地であった朝鮮半島出身の被害者以外にも、旧日本軍が侵略した広範なアジア地域の多くの女性――日本人女性を含む――たちが被害にあったことが、市民による地道な聞き取り調査や資料研究によって明らかになっています。そして、以来四半世紀が経とうとする現在でも、そうした調査研究が継続されています。被害者の方々の「解決」を求める強い願いを支えてきたのは、〈真相究明〉、〈日本政府の法的責任を認めた上での公式謝罪〉、〈市民への歴史教育〉、〈被害者の尊厳回復〉といった、戦時性奴隷制度の解明と解決に取り組むという強い思いです。

 この「日韓合意」には多くの問題があります。まず、1993年の「河野談話」によって認められた慰安所制度の強制性、すなわち、慰安所制度が軍による性奴隷制であったという認識を踏まえての「合意」であったのかどうか。「河野談話」以降、多くの研究や資料によって慰安婦制度の強制性について明らかにされています。「河野談話」での認識から後退するようなことがあってはなりません。

安倍首相は朴槿恵大統領との電話会談で謝罪した、と発表されていますが、謝罪は公式に、被害者の方々に対してされるべきものです。またそのような電話での謝罪によって、日本政府の法的責任が曖昧にされてはなりません。

「河野談話」においても約束され、被害者女性たちが強く求めてきた、この歴史を繰り返さないための歴史教育は、安倍首相を中心とした強い政治的な力によって、現在では中学校教科書から「慰安婦」に関する記述が削除されるに至っています。このことになんら言及されない合意には、むしろ、歴史から日本軍性奴隷制度という過去を消し去ろうとする意図が働いているのではないかと思わざるを得ません。

 とりわけ、201112月、1000回目の日本大使館前水曜日デモを記念して建立された「平和の碑」を、日本政府の威厳を損なうという理由から撤去を日本政府が韓国政府に強く主張している点は、被害者女性たちの尊厳を踏みにじるだけでなく、やはり、彼女たちの存在や記憶を歴史的に葬り去ろうとする強い意志の現れです。さらに、像の撤去を日韓政府が共同で設立する基金への日本政府の拠出金の条件であるという日本政府の要求は、被害女性たちへの侮辱です。

 1993年に国会議員となって以来、安倍首相は日本における歴史認識、特に植民地支配と軍国主義の歴史をめぐる認識や教育に対して、政治的な介入を繰り返してきました。20158月の「安倍談話」では日露戦争が「多くのアジアやアフリカの人びとを勇気づけました」と述べるなど、安倍政権は戦前の軍国主義を反省してようやく誕生した日本の平和主義と立憲主義を破壊するという形で攻撃し続けています。

 わたしたち「女性・戦争・人権」学会では、これまで世界的な市民レべルの運動と研究が模索しながら見いだしてきた、問題解決をめざした提言に対して、両国政府が真摯に耳を傾け、今後の支援のあり方に関して被害者の女性たちとの対話、解決に向けた努力を積み重ねていくことを強く求めます。過去の国家犯罪に対する「最終的な」解決とは、未来に向けて、国家が犯した人権侵害、非人道的な組織的犯罪を現在において深く反省しながら、その歴史を新たな発見とともに、未来へと継承していくことに他なりません。過去の深刻な国家犯罪について、今後とも真摯に向き合う姿勢を強く求めます

 

2016112

 

「女性・戦争・人権」学会

「慰安婦」問題日韓合意への危惧
2015年12月28日「慰安婦」問題日韓合意への危惧(20160109).pdf
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2015年度年次大会

シンポジウム・テーマ「侵略戦争・植民地支配・ジェンダー―敗戦70年を考える」

 20151025日(日)

 

日時:20151025(日)1000

 

会場:同志社大学 烏丸キャンパス 志高館 SK112教室

 

(参加費 会員:無料、一般:\1,000、学生/非正規労働者:\500

 

 

 

○スケジュール

 

10001100                       総会

 

 

 

11151215         自由論題発表

 

「慰安婦」問題とマンガ:

 

小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言』のメディア論

 

報告者:倉橋 耕平さん(関西大学ほか)

 

 

 

12151330         ランチ休憩

 

 

 

13301730         シンポジウム

 

侵略戦争・植民地支配・ジェンダー:敗戦70年を考える

 

シンポジスト: 志珠絵さん(神戸大学)

 

宮城 晴美さん(琉球大学)

 

吉見 義明さん(中央大学)

 

 

 

 

18002000  懇親会 会場未定

 

(懇親会費 会員/一般:\5.000-、学生/非正規労働者\2,000-

 

 

 

 

 

○自由論題発表

 

 

 

報告者 倉橋 耕平さん(関西大学ほか)

 

 

 

タイトル 「慰安婦」問題とマンガ:小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言』のメディア論

 

 

 

報告要旨

 

「慰安婦」問題に対する保守言論がメディア上でどのように展開されたか。「慰安婦」問題に関わる言説は数多いが、メディア研究は非常に少ない。本稿はこの問いと状況に対して、「慰安婦」問題を扱った小林よしのりの『新・ゴーマニズム宣言』を対象とする。従来の研究では、同作品の内容批判、文法分析、読者分析を行ってきたが、この作品がおかれた「メディア」の文脈を検討してこなかった。しかし、メディア=器の違いが作品の社会的意味を変えるのならば、この視座から再度同作品と先行研究を検討する必要がある。

 

分析の結果次の知見が得られた。同作品は雑誌が展開する歴史修正主義のメディアキャンペーンに乗じて連載をし、マンガであるにもかかわらず、単行本を「書籍」として流通することで「話題書」としての地位を位置づけられることとなった。また、連載時と単行本とで読者投稿の掲載状況を変えることによって、すなわち、この二つの時間差のある媒体を用いて、それぞれ異なる読者に対して「アジール(対抗言論の自由空間・領域)」を提供したかのような印象を保つ仕組みを保有していることが析出された。

 

 

 

キーワード:「慰安婦」問題、メディア論、マンガ、歴史修正主義

 

 

 

 

〇2015年度シンポジウム

 

侵略戦争・植民地支配・ジェンダー

~~~敗戦70年を考える~~~

 

パネリスト

 

長志珠絵さん(神戸大学)

 

宮城晴美さん(琉球大学)

 

吉見義明さん(中央大学)

 

 

 

 

要旨

 

 

 

日本の敗戦から70年を迎えた今年2015年、立憲主義、民主主義、そして平和主義が安倍政権下で破壊され、また辺野古と東村高江の米軍基地建設問題では沖縄の人びとの民意が踏みにじられています。米軍基地建建設強行に象徴されるように、多くの矛盾を孕みつつもなんとか維持されていた理念としての立憲民主主義が、安倍晋三首相の歪んだ歴史認識と政治信条によって崩壊の危機に晒されています。

 

 立憲民主主義が日本社会に本当に根づいているのか否かを測るバロメーターとして、ジェンダー平等がどれほど達成されているか、そして、戦争や暴力を許さない政治文化がどれほど浸透しているかが挙げられるでしょう。そうであれば、わたしたちの学会の中心的テーマの一つである日本軍「慰安婦」問題にいかに日本社会や政治が対応してきたかを振り返ることは、敗戦後の立憲民主主義の実態を批判的に考えることと密接に関係しています。

 

 敗戦後70年である今年が、日本における立憲民主主義の危機の年であると同時に、日本軍「慰安婦」問題を解決しようとする運動に対してこれまでにない厳しい攻撃が続けられた年であることは、決して偶然ではありません。

 

 「戦後」70年の歩みとはなんだったのか。安倍首相が頑なに否定しようとする植民地支配と侵略への責任と謝罪の問題にどのように取り組むか。1991年金学順さんの告発以降大きく進展した日本軍「慰安婦」問題をめぐる歴史研究、日本軍「慰安婦」問題解決に向けた市民の運動、平和と脱軍事化を求める国際連帯などを通じて、何度もわたしたち市民は問い返さなければならないでしょう。

 

 そこで、そうしたわたしたちの問題意識に相応しいパネリスト三人を2015年度大会にお迎えして、日本軍「慰安婦」問題、植民地支配と侵略の問題を中心に、じっくりと日本社会・日本政治、また東アジアの政治について議論したいと考えます。

 20151025日(日)

 

日時:20151025(日)1000

 

会場:同志社大学 烏丸キャンパス 志高館 SK112教室

 

(参加費 会員:無料、一般:\1,000、学生/非正規労働者:\500

 

 

 

○スケジュール

 

10001100                       総会

 

 

 

11151215         自由論題発表

 

「慰安婦」問題とマンガ:

 

小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言』のメディア論

 

報告者:倉橋 耕平さん(関西大学ほか)

 

 

 

12151330         ランチ休憩

 

 

 

13301730         シンポジウム

 

侵略戦争・植民地支配・ジェンダー:敗戦70年を考える

 

シンポジスト: 志珠絵さん(神戸大学)

 

宮城 晴美さん(琉球大学)

 

吉見 義明さん(中央大学)

 

 

 

 

18002000  懇親会 会場未定

 

(懇親会費 会員/一般:\5.000-、学生/非正規労働者\2,000-

 

 

 

 

 

○自由論題発表

 

 

 

報告者 倉橋 耕平さん(関西大学ほか)

 

 

 

タイトル 「慰安婦」問題とマンガ:小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言』のメディア論

 

 

 

報告要旨

 

「慰安婦」問題に対する保守言論がメディア上でどのように展開されたか。「慰安婦」問題に関わる言説は数多いが、メディア研究は非常に少ない。本稿はこの問いと状況に対して、「慰安婦」問題を扱った小林よしのりの『新・ゴーマニズム宣言』を対象とする。従来の研究では、同作品の内容批判、文法分析、読者分析を行ってきたが、この作品がおかれた「メディア」の文脈を検討してこなかった。しかし、メディア=器の違いが作品の社会的意味を変えるのならば、この視座から再度同作品と先行研究を検討する必要がある。

 

分析の結果次の知見が得られた。同作品は雑誌が展開する歴史修正主義のメディアキャンペーンに乗じて連載をし、マンガであるにもかかわらず、単行本を「書籍」として流通することで「話題書」としての地位を位置づけられることとなった。また、連載時と単行本とで読者投稿の掲載状況を変えることによって、すなわち、この二つの時間差のある媒体を用いて、それぞれ異なる読者に対して「アジール(対抗言論の自由空間・領域)」を提供したかのような印象を保つ仕組みを保有していることが析出された。

 

 

 

キーワード:「慰安婦」問題、メディア論、マンガ、歴史修正主義

 

 

 

 

〇2015年度シンポジウム

 

侵略戦争・植民地支配・ジェンダー

~~~敗戦70年を考える~~~

 

パネリスト

 

長志珠絵さん(神戸大学)

 

宮城晴美さん(琉球大学)

 

吉見義明さん(中央大学)

 

 

 

 

要旨

 

 

 

日本の敗戦から70年を迎えた今年2015年、立憲主義、民主主義、そして平和主義が安倍政権下で破壊され、また辺野古と東村高江の米軍基地建設問題では沖縄の人びとの民意が踏みにじられています。米軍基地建建設強行に象徴されるように、多くの矛盾を孕みつつもなんとか維持されていた理念としての立憲民主主義が、安倍晋三首相の歪んだ歴史認識と政治信条によって崩壊の危機に晒されています。

 

 立憲民主主義が日本社会に本当に根づいているのか否かを測るバロメーターとして、ジェンダー平等がどれほど達成されているか、そして、戦争や暴力を許さない政治文化がどれほど浸透しているかが挙げられるでしょう。そうであれば、わたしたちの学会の中心的テーマの一つである日本軍「慰安婦」問題にいかに日本社会や政治が対応してきたかを振り返ることは、敗戦後の立憲民主主義の実態を批判的に考えることと密接に関係しています。

 

 敗戦後70年である今年が、日本における立憲民主主義の危機の年であると同時に、日本軍「慰安婦」問題を解決しようとする運動に対してこれまでにない厳しい攻撃が続けられた年であることは、決して偶然ではありません。

 

 「戦後」70年の歩みとはなんだったのか。安倍首相が頑なに否定しようとする植民地支配と侵略への責任と謝罪の問題にどのように取り組むか。1991年金学順さんの告発以降大きく進展した日本軍「慰安婦」問題をめぐる歴史研究、日本軍「慰安婦」問題解決に向けた市民の運動、平和と脱軍事化を求める国際連帯などを通じて、何度もわたしたち市民は問い返さなければならないでしょう。

 

 そこで、そうしたわたしたちの問題意識に相応しいパネリスト三人を2015年度大会にお迎えして、日本軍「慰安婦」問題、植民地支配と侵略の問題を中心に、じっくりと日本社会・日本政治、また東アジアの政治について議論したいと考えます。

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